このままでは反原発=残念な人と言う図式が出来てしまう・・・

何と言うか、ggrksとでも言いたくなる記事が投稿されてました。

 

政府の『美味しんぼ』批判の背景に“カネの問題”?福島県調査で異常ながん発症率 (Business Journal) - Yahoo!ニュース BUSINESS 】

この中で『今年3月まで行われた福島県の調査では、県内30万人の子供の中で甲状腺がん発症が「確定」されたのは50人、「疑い」を入れると89人に上った。「10代の甲状腺がんは100万人に1~9人程度」(国立がん研究センター)という確率と照合すれば、驚異的な発症率だ。

データを探した結果、恐らくこれが元ネタだと思われます。

【県民健康調査「甲状腺検査」の実施状況について

http://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/65174.pdf 】

で、平成23年度(2010年度)~平成25年度(2012年度)の3年間の調査結果が報告されています。

2010年度 調査件数/ 41,981名 悪性ないし悪性疑い/14名(0.03%)
2011年度 調査件数/140,946名 悪性ないし悪性疑い/54名(0.04%)
2012年度 調査件数/112,584名 悪性ないし悪性疑い/21名(0.03%)
    合計 調査件数/295,511名 悪性ないし悪性疑い/89名(0.03%)

一方で、『10代の甲状腺がんは100万人に1~9人程度』の資料が見つかりませんでした。
で、何とか探し出せたのが以下の資料。

国立がんセンター(やったね、たえちゃん。お膝元だw)のサイトを探したら、こんなデータがありました。
【 集計表のダウンロード:[がん情報サービス 医療関係者の方へ] 】

この中の『地域がん登録全国推計によるがん罹患データ(1975年~2010年)』を見てみます。

ホントは受診患者数(母数)が分かると良いのですが、率しか表示されてませんでした。

36年間の平均 0~4歳/0.028%、5~9歳/0.04%、10歳~14歳/0.169%、15~19歳/0.497%

えっと比率から考えて、100万人受診した場合、0~4歳でも200人以上見つかってもおかしくないのですが?どこから100万人で10人以下と言うデータが??

 

訂正します。

上記の比率ですが、10万人当たりの罹患割合です。NATROMさん、ご指摘ありがとうございました。まさか、敬愛するNATROMさんからじきじきにコメント頂けるとは。(済みません、条件を見落としていたようです。読み込みが足りませんね)

ですので、100万人当たりとすると、上記の比率の10倍となりますので、

36年間の平均(100万人当たり) 0~4歳/0.28人、5~9歳/0.4人、10歳~14歳/0.169人、15~19歳/0.497人

で集計すると、0~19歳で1.346人となります。

 

なんだ、じゃあ、やっぱり異常な値じゃないかと言う話なのですが、NATROMさんの説明にある通り、福島県の調査と「10代の甲状腺がんは100万人に1~9人程度」とを比較してはいけないのは、前者が有病割合(スクリーニングで発見された無症状の甲状腺がん)を表す一方で、後者が罹患率(症状が生じて病院を受診して発見された甲状腺がん)を表しているからです。』

要するに、とにかく無条件(と言うと語弊がありますが)にみんな集めて、さあ検査しましょうってやった検査結果と、どうも変な感じだから医者に診てもらうかと言う動機で検査した結果を単純比較してはいけない と言うお話です。

 

自分なりに噛み砕いて例えると、福島の結果は学校で全校生徒を集めて健康診断した結果。当然ながら無自覚だけど罹病している人を見つけることになります。

他方、国立がんセンターのデータは、調子が悪いなぁと思って保健室に来た生徒を診察した結果。当然ながら、無自覚だけど罹患してる人は保健室に来ませんから、健康な生徒として(統計上)カウントされますので、罹病している人の数は全校生徒を集めての健康診断よりグッと少なくなります。

 

と言うことは、もしかすると福島での診察結果と言うのは、実は日本人の甲状腺がんの正しい罹病率に近いと言えるのかも知れません。

継続的な経過監査と報告を望みます。

閑話休題

わたしも不勉強でしたので、その点は反省しますが、卑しくもジャーナリストを名乗るのであれば、変な噂話ではなく、きちんとした裏づけの元に記事を書いて頂きたい。

パンピーの戯言よりも遥かに影響力があるのですから。

 

で、結論ですが、福島の甲状腺がんは記事にあるような『福島県調査で異常ながん発症率』は認められません。
もしわたしがデータの見方を間違ってるとか、調べた範囲外でデータがあるなら、指摘して下さい。

 

こちらは、誰かみたいに「俺はこう思う。違うと言うなら因果関係のデータ出せ」なんていわずに、データを提示しましたからね。