問題は恐らく原価低減=人件費削減と勘違いしてること。 ~人の感性は十人十色~
「人は自分が観測した範囲でしか現象を把握できない」と言う実例をご紹介。
まあ、ブーメランである事は自覚・自戒しつつですが。
「生産性の概念の欠如」がたぶんもっとも深刻
http://d.hatena.ne.jp/Chikirin/20131015
ぶコメが非表示なので皆さんがどんな感想をお持ちなのか分かりませんが、何と言うかこの『デマこいてんじゃねぇ』感が。
上記の記事の主張は、「お前らホワイトカラーもちゃんと生産性向上を意識しろよ」って事だと解釈しました。
『たとえば(日本で唯一、生産性という概念が根付いてる)製造部門だと、「コストを3%下げる」っていう目標と、「コストを3割下げる」っていう目標を定常的に組み合わせて生産性を上げていく。
3%の方はこまごました改善の積み重ねで達成し、3割下げるほうは、設計思想とか組み立て工程を抜本的に見直したり、調達先を国内から海外に移す、もしくは、系列以外からも調達するとか、どーんと発想を変えることで実現する。
そういうことを、ずううううううっと繰り返して、生産性を上げる工夫を続けてる。
でもホワイトカラー部門って、あまりにこの発想がない。
「今日、8時間かかった仕事を、5時間で終わらせるんはどうすればいいか」って、ちゃんと考えたり、部門内でみんなで話し合ったり、実際に新しい方法でやってみて生産性を比べてみたり、してます?
とても、してるようには見えない人&会社が多すぎる。(これは一例に過ぎないけど、メディア業界とかもひどいよね。あたしもこの3年間にそれなりの数の取材を受けたけど、生産性概念がある人って皆無に近い気がしてる)』
どうやら、ちきりんさんのいる日本とわたしのいる日本は別物らしいです。
製造業に関わっていると、間接部門(記事でご指摘の管理部門や営業など)まで含め「どうすれば生産性が上がるのか?」「どうやれば原価を下げられるのか」を一生懸命考えてます。
毎週原価会議をやって、いかに価格競争力を上げるか?って全部門が考えてる会社がほとんどでした。
但し、主目的は原価を下げる事で、そのためには生産性も上げないとダメだよね と言う話ですけどね。
これは残業代を払う払わないだけではないです。管理職が残業する分には残業代は発生しませんが、光熱費は必要ですから、原価を下げたければ管理職まで含め残業ゼロにする必要があります。
原価を下げるために極力ペーパーレスにするとか、管理部門で必要なデータは自動収集出来るようにするとか、営業の日報も移動中に出来るようにモバイル対応するとか。
営業の作る見積もりを自動化したいなんてご相談も頂いたりします。
(IT目線なのはご容赦。何せそれ以外のお話がこちらに来るはずもないので)
まあそれでも、営業部門の意識が他の部門よりは低いってのは、何となく感じますけどね。
競合があるだけに、単純に定時過ぎたら対応しません って事にはならないのでしょう。
営業は人間関係で仕事をする面が大きいので、代替要員を用意して・・・とは行きませんしね。
閑話休題。
問題は記事が指摘しているような「生産性概念の欠如」ではなく、原価低減=人件費削減と思ってる人が多すぎるという事だと感じます。
生産性が良かろうが悪かろうが、企業として利益が出るならOKってのが資本主義の根本だと考えます。
とは言え利益を上げる(増やす)ためには、原価を落とすor売価を高くする必要がある。
で、今時、高価格で物を売れるのはApple位ですから、その他の企業は原価低減に血道を上げることになります。(Appleも伝え聞くところによると、相当メーカーに厳しいようですが。実際はどうなんでしょうね。)
製造業だと生産性UPと原価低減が結び付きやすいので、生産性向上を一生懸命にやる。
われわれIT企業も一部は始めている。
恐らく、海外と競合している企業では、原価低減と生産性向上がセットとなって進められているのではないでしょうか?
他方、わたみに代表(させるなと言われそうですが)されるような飲食業界やサービス業だと、人件費の割合が高いので、企業の競争力UP=原価低減=人件費削減 と言う思考になってるのではないでしょうか?
だからこそ、ブラック企業と言われるような、残業代不払い企業が生まれてくる。
生産性向上で少ない人数でも企業として活動できるようにする と言う考え方が出来ないのだと思います。
それは、生産性向上は目に見えるまで時間がかかる反面、人件費削減は目の前の支払いが減るのですから。
だからこそ「生産性がー」と言うのではなく、原価と言う観点から経営を語らないと、生産性の向上に向かうとは思えないのですよね。
とまあ、うだうだと書いてみましたが、経済産業省の調査報告とかつらつら眺めた方が有益だなあと思いました。
平成24年企業活動基本調査確報-平成23年度実績-
http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/kikatu/result-2/h24kakuho.html
労働生産性はH20年度に一度落ちたけど、以後は向上してるとか、その割に労働配分率は右肩下がりになってるとか、色々考える材料を与えてくれます。
ざっと眺めるだけでも、結構、面白いですよ。
そんじゃーねww